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　患者を本当に救う医療はどこにある!?

　進行した乳がん患者の池田奈津子さん（仮名）も、国立がんセンター東病院に通っている。四二歳の池田さんは、小学生から高校生までの三人の子どもの母親だ。育ち盛りの子どもたちに囲まれ、にぎやかで忙しい日々を送っていた。
　二〇〇四年三月のことだった。池田さんは偶然左の乳房に触れた時、しこりがあることに気づいた。小指の先くらいの小さなものだった。
　不安に思った池田さんは、近くの総合病院を訪れた。受付で「乳がんの検診を受けたいのですが」と言うと外科に案内された。乳がんは外科で診ることを初めて知った。担当は女性の医師だった。「女性でよかった……」と池田さんは思った。
　医師は乳房を触診し、超音波エコー検査でしこりの状態を見て、こう言った。
「がんではありません。でも、念のため手術してとりましょう」
　四日後、手術を受けた。局所麻酔の簡単なものだった。手術を行う医師が落ち着いた様子だったので、池田さんも安心して治療を見ていた。乳房のあたりからジュージューという音がして、煙が立ち上る。サンマにでもなった気分だった。
　四月下旬、手術でとった組織の検査結果が出た。良性。よかった！　心の底からそう思った。
　手術から三カ月後の七月。抜糸の終わった傷跡もようやく小さくなり、池田さんは久しぶりに、しこりのあった場所を触れてみた。ちゃんと無くなっていることを確認するためでもあった。しかし、池田さんの手に触れたのは以前よりも大きなしこりだった。
「とったばかりなのに、これはなんだろう？」
　不安にとらわれたが、「前回の検査結果が良性だったのできっと大丈夫だ」と自分に言い聞かせた。池田さんは、子どもの夏休みが終わってから検査を受けることにした。
　九月、同じ病院を受診した。前回とは違い、若い男性の外科医が担当になった。超音波検査の後、細い針を刺して、しこりの細胞を採取し、細胞診という検査を受けた。病理医と呼ばれる専門医が採取した細胞を顕微鏡で見て、がん細胞かどうか判断する。
　二週間後、医師から「やはり良性でした」と検査結果を告げられた。心配することはなかったのだ。しかし、池田さんは胸に違和感を持っていた。良性と言われても、大きなしこりをこのまま放っておいていいのだろうか。池田さんは医師に質問した。
「このしこりはいったい何なんですかね？」
　若い医師は自信がなさそうに答えた。
「手術後の血液やうみが固まったものか、乳汁が固まったものでしょう。多分、乳腺症だと思います」
「時々うずくこともあるんですが？」
「じゃあ三カ月後に、大きくなっていないかどうかの検査をしましょう」
　池田さんは再検査の予約をして、自宅に帰った。
　一一月下旬、池田さんは三度左胸にしこりを見つけた。今度は前の場所より少し下にあり、以前よりもっと硬い。金平糖を大きく